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寄稿 願成寺の秋(読者の小野元夫さんから寄稿をいただきました。)

<2018年 第62号>

願ひ成る寺の山門秋の蝶

地蔵の手秋七草を招きをり

桜紅葉合掌せよと言ひつ散る


願成寺の秋

 法亀山願成寺(西戸部町三丁目)は高野山真言宗のお寺で十六世紀中期の創建。本尊は秘仏・延命地蔵尊で、門前には日限地蔵尊を祀り、毎夏、近くの商店街で縁日が開かれて今も人気だ。


 願成寺坂で生まれ育った私にとってこの寺の裏山の墓地は隠れん坊遊びに格好の場所だった。ある日、見かねた和尚さんが私たち悪童どもを本堂に上げてくれて、この寺の歴史を教えてくれた。随分と怖い話だったような気がする。それ以後、私たちはこの寺域に足を踏み入ることをやめたのだった。


【句文と写真・小野元夫】

(俳誌「百鳥」同人、現代俳句協会会員)

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