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「成年後見制度」ご存知ですか?~よりよい終活にむけて~

<2022年 第85号>

前々号(83号)でもお伝えしましたが、高齢社会において、認知症になる高齢者の割合が高まってきています。認知症になると何が困るのでしょうか?


いろいろありますが、一般的に認知症になって一番困ることは、銀行等の金融機関でお金がおろせないことではないでしょうか。認知症になった高齢者(以下、本人と呼びます)の医療費や施設の入所費用を本人の財産から工面したくとも、窓口で「成年後見制度」を利用してください、と言われてしまいます。これは認知症になると判断能力が欠け(又は不十分にな)るため有効な法律行為ができなくなるためです。このようなときに利用できる制度が「成年後見制度」です。

(この制度は本人の判断能力によって「後見」「保佐」「補助」の3類型に分かれますが今回は「後見」類型を前提としたおはなしです)

「成年後見制度」を利用すれば次のようなメリットがあります。



メリットその1:裁判所から選ばれた後見人が本人に代わって財産管理(本人に代わって支払いをするなど)をすることができる。


メリットその2:身上監護(本人に代わって施設の入所手続きをするなど)をすることができる。

 本人に代わって後見人がいろいろと手続きすることが可能となり、メリットもあるこの制度ですが、利用にあたり注意点もあります。


注意点その1:後見人は裁判所の裁量で選ばれる

 後見制度を利用する場合、家庭裁判所へ申立をしますが、身近な親族を後見人候補者として申請する場合があります。しかし、その親族が必ず選ばれるとは限りません。むしろ、親族以外の第三者が選ばれる可能性が高いです。親族以外の第三者とは司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門職です。ある日突然、専門職が家にやってきて本人の通帳やカードを預り、管理することになります。


注意点その2:一度後見人がつくと基本的に亡くなるまで続く

 例えば、上述の銀行の預金がおろせないために後見制度を利用し、専門職が選ばれ無事に預金がおろせました。その後、施設の入所手続も済んだので、後見制度をやめよう、と思っても基本的には途中でやめることができません。本人が回復するか亡くなるまで後見人が本人の財産を管理することになります。


注意点その3:後見人に報酬を支払う必要がある

専門職が後見人となった場合、専門職に報酬を支払う必要があります(親族後見人も報酬請求はできます)。報酬は本人の財産を基準にして家庭裁判所が決定しますが、本人の財産が1,000万円以下ですと月に2万円程かかる場合が多いようです。

 1月2万円として年間24万円が本人の財産から支払われることになります。(なお、月々報酬を支払うのではなく1年に1回、裁判所への報告とともに報酬の申立てをして1年分を本人の財産から受領することになります。報酬額は報告書記載の1年間の業務量や本人の財産を考慮し裁判所が決定します。)

 注意点その2とも絡みますが、一度後見制度を利用すると基本的には亡くなるまで続きます。つまり報酬も亡くなるまで支払う必要があります。


 「成年後見制度」は使い方によっては有用な制度ですが上記のような注意点も存在します。制度を利用する場合は十分考えて利用することをお勧めします。今回は紙面の都合上くわしく紹介できませんが、認知症になる前に契約を結ぶ「任意後見制度」や「財産管理契約」など、お元気なうちにできる対策も存在します。ご自身の環境や健康状態によってベストな終活をすることが肝要かと思います。

 ご利用にあたってはお近くの専門家にご相談することをお勧めします。



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